連作「グッバイ!とてもツライけど」第三十六日 阿呆

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下記、コメント・サブスクで読者感想をいただいてます

(参考にどうぞ)

第七日目 復讐

『あの秋葉原の事件がモデルになっているのですね。重厚で色々と考えさせられる内容で、行間の問いが胸にずしりと重くのしかかるようでした。

あの事件については、おぼろげに覚えています。当時、社会のあり方について、テレビで連日議論されていました。犯人が派遣社員だったことも、話題を呼びました。たまたま不遇な時代に生まれてしまったから、というようなことも言われました。でも、不遇の時代に生まれても殺人を犯さない人の方が多い、ですよね。

本作に登場する殺人犯は、もともと手癖が悪かったのですね。社会のせい。そういう側面もあるけれど、やはり犯罪を犯す人には、固有の問題が存在するのだと感じました。自分より弱い「おんなこども」を狙ったところからも、卑劣な犯罪だと言えます。

でも、もし、彼がもう少し恵まれていたとしたら? たとえ問題のある人物だとしても、殺人を犯さなかったのではないか。無関係な人たちが殺されることはなかったのではないか。

そんなふうに、社会の孤独や人間の心理について、様々なことを考えさせられる物語でした。また、この酷い犯人を許してはならないという、ふしみさんの強い想いを受け取ることができました。』もえさん


第十日目 未開

『こちらは六本木の闇を克明に描き出した名作でした。ブイブイ言わせていたのに、いつしか落ちぶれてしまうエリートサラリーマンとか、港区女子の成れの果てとか……エグいです(褒めてます)。金持ちが勝ちで、貧乏は負け、という価値観の中で虚勢を張って生きなくてはならないのは、きっと辛いことなんじゃないかと思います。

私服を肥やす国会議員も、六本木で活動しますよね。その陰で涙を流す人が、どれほどの数いるだろうと思うと、気が遠くなりそうです。

この享楽の街・六本木を「美しい未開の土地」と表現されるセンスに脱帽です。発展しすぎた結果、未開の地みたいに欲望渦巻く混沌とした場所になったのかもしれませんね。』もえさん


第十一日目 失敗

『冒頭で、東京という場所を非常に的確に表現されていると感じました。「人間関係の渦の中でずぶずぶになって溺れかかった。」という一文に、とても共感を覚えました。

Kくんのお話でしたね。相変わらず、亡くなってからも仲間たちの中で強い影響力を残していますね。

東京は、夢にあふれた、そして殺伐とした場所です。それでいて、人間味を失っていない……なんだか不思議だなって、改めて思いました。

ハリオとSさんとの、すべてわかっている者同士の会話は、渋みがあって素敵です。難しい挑戦かもしれないけれど、死者の声に負けずに山を登ると決めたハリオは立派で、かっこいいです。厳しい道だとしても、応援したい気持ちになりました。』もえさん


第十二日目 失敬

『諦めずに続けて、俳優として芽が出た男性の話で、前半は読んでいて心に日が差したようでした。神田の辺りには、人情が色濃く残っている趣がありますよね。神田のおやじさんの距離感、いいですね。こういう人が、これくらいの温度で応援してくれているのが、きっと1番ちょうどよく、ありがたいです。本当の父親みたいです。

後半で様相が変わり、無常のようなものを感じました。せっかく俳優として成功したのに、事情が重なって実家に帰ることになった男性。なんだか寂しいですね。おやじさんは何も変わらずにそこにいて、ただ男性を受け入れてくれる。それだけが救いのようでした。男性は、故郷の親から離れて東京に来て、親を亡くし、今度は東京のおやじさんから離れて故郷に戻っていく……複雑で深みのある人間関係の微妙な「ズレ」を見事に描いていらっしゃると感じました。

ラストでは、哀愁の立ち込めた店内でため息をつく親父さんが切なかったです。東京という殺伐とした街に、まだ残っている人情の欠片が、死骸となってキラキラ光っているようです。きっともう、男性とおやじさんが会うことは2度とないのでしょう。そう思うと、胸が締め付けられるようです。現実の歯車は、いつも噛み合うとは限りません。心の通った人同士でも、切ないすれ違いをしていくもの。そういった世間の「かなしみ」が浮き彫りになったような、素敵な現代ドラマでした。』もえさん


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(第一日目~第九日目 )」へのコメント

『淡々とつづられていく文章の中に、 苦いものや優しいものが散りばめら れている作品です。全体的にジャズ が良く似合うと感じました。あえて 登場人物の固有名詞を最小限にする ことで、よりいっそう作品に奥行き を与えているように感じられます。 別れをテーマにした現代劇でここま でバリエーション豊富な連作短編集 を書いていることに感服しました。 発想力、観察力が豊かだからこそ書 けるのだろうと思います。 第九日目の「密会」は、男女の複雑 な感情が表現されていました。大人 同士の苦い恋愛が描かれているけれ ど、どこか幻想的だと感じました。 そっと相手が離れるよう促す、大人 のやり方だと思います。短いけれど 読み応えがありました。 第八日目「愚痴」のささやかだけど どこかやさしいやり取りは好きです 。誰かのたった一言で救われている 人は結構多いのではないかと、読ん でいて感じました。ドライだけど温 かさを感じます。 第二日目「勇気」の乗り越えていく 彼女の強さ、前向きな姿勢に心打た れました。最後の一文が余韻を残し てくれます。第一日目の彼の幼馴染 が第六日目に出ているなど、色々謎が気になり続きを読みたくなる作品 でした。読ませていただいてありがとうございました。』れい

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