小説「取り巻きサソリのナミダ 」読者感想
コメントサブスクより読者感想いただきました
(励みになります)
以下、参考にどうぞ
どべさんのコメント1
『本編を読ませていただく前にあらすじを拝読しましたが、こちらの作品はサソリのガッツーゾが主役とのことで、その時点で一般的な小説(人間を主人公としたもの)ではないことがわかり、興味を引かれました。他の登場キャラもアリやハツカネズミといった動物で、その奇妙な組み合わせも先の展開が読めずワクワクします。いずれは人間の女の子も登場するようで、ますます複雑な展開になっていくことが予想されました。従来の小説とは違う視点から切り込んだ、とても斬新な作品だと感じます!
本編ですが、ガッツーゾはサソリでありながら一匹狼という第一印象を受けました。しかしそんな一匹狼にも過去には多くの仲間がおり、ガッツーゾはその過去のような生活を取り戻したいという思いが強いのですかね。完全に一匹狼として生きていく覚悟を固めているというよりは、自分の信念を貫いた結果一匹狼になってしまったという感じでしょうか。どことなく物語冒頭のガッツーゾからは寂しさのようなものを感じました。
暖かい地方はガッツーゾが元々いた地ということもあり、流儀はわかっていたものの激しい性質が受け入れられなかった。一方で寒い地方ではその性質こそ生かせたものの、流儀や振る舞い方がわからなかった。ガッツーゾはどこにいてもなんらかの苦しみを抱えていたのですね。ガッツーゾが受けてきた苦しみは、どことなく人間社会にも通ずるところがあると感じます。あの場所では受け入れられたのにこの場所ではそうもいかなかった。あの仕事はできたのにこの仕事はできない。「この場所でやっていきたい」がいつしか「この場所でやっていかなくてはならない」に変わり、知らず知らずのうちに追い詰められていく…。ありのままの自分でやっていける場所って案外少ないんですよね。程度の差はあれ、その場所に適応するために本来の自分を変えていかないとやっていけないことがほとんどだと思います。寒い地方に来て、♏ の一員となったガッツーゾは丁度その苦しみの渦中にあったのでしょう…。
そんな中でも、投げ出さずに慣れない仕事を続けたガッツーゾは見事です。文句も言わずに仕事をするガッツーゾに対しても遠慮の欠片もない罵声がかけられましたが、こういうこともよくありますよね。そういった心無い言葉を放ってくる本人たちは軽い気持ちだったのかもしれませんが、言われた方はかなり傷つきます。しかも結構長い間引きずるんですよね。プライドを切り裂かれたガッツーゾが自分を見失うあたりのシーンは読んでいて苦しかったです…。
「言葉は凶器にもなる」というような格言もあることですし、やはり言葉の持つ力というのは良くも悪くも強大だと思います。この時のガッツーゾは慣れない土地で慣れない仕事をするというストレスに加え、そうした言葉の攻撃にも遭っていたのでそれこそ心神耗弱の一歩手前といった様子でした。6月に入り、唯一本心を吐露できていた太陽があまり姿を見せなくなったことも追い打ちをかけたのでしょうね。体調にも変化が表れているとなると大分心配です…。
そして暖かい地方にいた時からの仲間・ジャランですが、彼はガッツーゾよりも年下なんですね。自分よりも年下の相手を「先輩」として見なければならない、そして恐らく現時点ではジャランの方がガッツーゾの何倍も仕事ができるのでしょう。そういった事実の数々はガッツーゾにとって耐えがたいものだと思います。事実ひとつひとつから受けるダメージは大きくないかもしれませんが、そういったダメージが積み重なっていつか致命傷になるんですよね。ガッツーゾがそんなことにならなければ良いのですが…。読者でしかない私は彼に対して何もできませんが、それがとても歯がゆく思います。
そしてジャランから仕事を引き受けたガッツーゾでしたが、この仕事もまたガッツーゾにとっては苦痛なものだったようで…。手間暇がかかる作業が苦手なことに加え、事あるごとにジャランからの催促が飛んでくるだなんて、想像するだけでも嫌なものです。元々1人作業を好んでいたガッツーゾにしてみればたまったものではないですよね。ガッツーゾのこの性質は気質といってもいいものだと思うので、慣れろといっても簡単なことではなさそうです。
今回は1~5まで読ませていただきましたが、ガッツーゾの孤独感や焦り・不安といった感情が痛いほどに伝わってきてとても没入感のある作品でした。慣れ親しんだ土地を離れ、仲間や話し相手もほとんどいない、その上仕事には慣れず、不満や葛藤が続く…。なかなかに苦しい展開が続きますが、そんなガッツーゾだからこそこの先も見守りたいという思いが強くなりました。ジャランから任された仕事に慣れ、♏のメンバーからも認められる日はくるのでしょうか。続きがとても気になる小説です。また続きも読ませていただきますね!』
*
どべさんのコメント2
『前回1~5までの感想をお書きしましたので、今回はその続きから読ませていただきました。前回の感想にはご返信いただき、ありがとうございます! 作品を書くときは昇華した気分になるとのこと、なんとなくわかる気がします。自分の感じていたこと・考えていたことを上手く文章で表現できると、変な言い方にはなりますが脳が喜んでいる感じがしませんか?(笑) こちらの作品はガッツーゾを主人公とした物語ですが、彼と似たようなことを感じている人は結構多いのではないでしょうかね。私自身もガッツーゾに共感しながら読み進めているので、没入感が得やすく、主人公にスルッと感情移入をしてしまう作品だと感じています!
今回の読書範囲は、ガッツーゾがジャランから引き受けた仕事に奮闘する場面から始まりましたね。失敗が続いたことで自信も失い、コンディションが整わないせいでまた失敗を繰り返す…という悪循環に陥るガッツーゾがリアルで痛々しかったです…。このような状態のときは、他人からアドバイスをもらっても簡単に受け入れにくいように思います。プライドが高すぎるからというわけではなく、そもそもアドバイスの内容が頭にすら入ってこない感じといいますか…。言ってしまえばこのときのガッツーゾはうつ状態にあったのではないですかね。慣れ親しんだ土地や仲間の元を離れ、新しい地では仕事にも慣れず、唯一と言っていい話し相手(太陽)も姿を見せなくなり…というように、メンタルをやられてしまう条件がそろいすぎているのでしょう。一刻も早く報われてほしいところなのですが…。
と、そんなガッツーゾにもジョリーたち4人の仲間ができたようですね! 真面目なジョリーや楽天家のヴォイス、毒舌家のビリーと純粋なハリィという個性がバラバラすぎる仲間たちの登場は、ガッツーゾにとって新鮮な刺激となったように感じました。大まかな印象で言うと、ガッツーゾに似ている性質を持つのはジョリーとビリー、あまり似ていないのがヴォイスとハリィでしょうか。似たような性格の仲間がいてくれると安心感を得やすいですし、全然違う性格の仲間がいてくれると自分にない新たな意見を得られやすくなりますよね。それぞれの個性が作用し合う、バランスの良いチームだと思います。ジョリーとヴォイス、そしてビリーとハリィの2組も、お互いに違う性質をしていたからこそここまで上手くやってこれたのかもしれませんね!
そして始動した「アリとキリギリス」ですが、ガッツーゾはこのチームをチーム♏よりも居心地が良いと感じているみたいでしたね。獲物を捕らえる作戦を立案し、誰かがそれに意見を表明したり反論を言ったりして議論が進んでいくという流れ、チーム♏ではトップ層がそれをやっていたのでしょうか。「アリとキリギリス」はメンバーが5人しかいないということもあってか全員で話し合いをしていますが、こうすることで行動の目的や方針をチーム全体で共有しやすくなると思います。ガッツーゾもこの話し合いに楽しみを見出していたようですし、このような横並びの関係は息苦しくないのでしょうね。チーム♏よりよっぽど働きやすい、生きていきやすい環境が整っているのだと思います。
そしてチーム内での会議の結果「ラクダ一号」というストレートな名付けをされた作戦の決行前夜、ガッツーゾは三日月とおもしろい話ができましたね。ガッツーゾは1人の時間を多くとりたがる性質ですが、流石に月や太陽からは隠れきることができないようです。ただ、彼らはガッツーゾに対してどころか世界で起きている様々な事象に対して中立的な態度をとっているようにも見えるので、それが逆に話し相手としては最適なようにも思いました。「プライドが高い」というと高慢でイヤな奴…といった悪いイメージをもちがちですが、三日月の言うように、プライドぐらいは誰にでもあるものですよね。その「プライド」を「自尊心」に変えることができたら、自分らしくありのままの姿で生きやすくなるのかも?と考えました。
今回は6~10まで読ませていただきましたが、「ラクダ一号」作戦は始まる前からいろいろと不安要素が出てきてしまいましたね。確かにビリーの性格から考えると遅刻の1つや2つしそうなものですが、いきなりしてくるとは…。しかもタバコを吸いながらの登場! 全く悪びれもしないその態度はいっそ清々しいです。ジョリーたちもこれには不満を覚えずにいられないようで、今から獲物を捕らえようとしているところなのにチームの雰囲気がかなり悪くなってしまいましたね。本当にこのチームでやっていけるんでしょうか…。次回以降作戦は開始されるのでしょうが、さすがに不安になってしまいますね。この後どのように作戦が進められていくのかとても気になるところです。続きもまた読ませていただきますね!』
*
どべさんのコメント3
『 小説というものは作者さんの目線と読者の目線の両方があって、初めて「作品」として成り立っていくのではないかと思っています。「言葉の力」、改めて考えるともの凄い威力がありますね。毒にも薬にもなるこの難しい要素、どうにか上手く使いこなせないか…と日々悶々としながら過ごしています(笑)
今回の読書範囲は、ラクダ一号作戦が開始される場面から始まりました。11話冒頭の「試練というのは、その相手にあったやり方で押し寄せてくるものなのだ」という言葉、良いですね! こう思える時点でガッツーゾは成熟した心を持っているように思います。「神は乗り越えられる試練しか与えない」という言葉もどこかで聞いたことがありますが、このような考え方ができるとその試練に取り組む姿勢も前向きになるってものですよね。
そうやって静かに士気を上げていたガッツーゾですが、ビリーと険悪なムードになってしまいました。作戦決行前から何を仲間割れしているんだ…と感じてしまいますが、こういった状況に弱いガッツーゾが適切な行動をとれなかったのはむしろ予想どおりでもありますね。ビリーも自分のペースを悪い意味で崩さずに突っかかってきたので、結果的に不和が生じたのでしょう。それぞれがそれぞれの自我を通しすぎたが故に起こった諍いとも言えるのでしょうかね…。12話ラストで「お前が邪魔をしなければな」と言わなくてもいい言葉を放ってしまったガッツーゾ、本人も気づいているのかもしれませんが、この余計な一言を言ってしまうのは彼の悪癖のように見えました。チームを組んでやっていく以上、どう考えても改善した方が良いですね。
13話では本作戦の獲物となるラクダに近づくことができましたが、やっぱりタバコダメだったか~…。ラクダって嗅覚鋭いんですね。新たな知識を得ることができてしまいました(笑) このラクダがのんきだったおかげで大事には至りませんでしたが、もし逃げられたり見つかって襲われたりしたら、ここで作戦が頓挫してしまう危険性もあったということですよね。ビリーにはタバコを消すようにもう少し強く言うべきでした。言ったところで聞き入れてくれるとは到底思えませんけど…。
続く14話では、ガッツーゾたち3匹がさらにラクダへと歩を進めていきましたね。ラクダが大きないびきをかいたシーン、こっちまでビビりましたよ…。ラクダはガッツーゾたちとは比べものにならないほど巨体なので、存在がバレでもしたらタダじゃ済まなさそうですもんね。今までガッツーゾなどの小さい生き物たちに焦点を合わせながら読んでいたので、ラクダの大きさというものを忘れていました…。改めて考えるととんでもない体格差がありますね…。ただ、涼しげな顔をしていても内心冷や汗をかいているヴォイス、ちょっとおもしろい。
そして15話、ついにガッツーゾたちはラクダにロープをかけようかというところまで行きましたね! いくらこのラクダが寝ているからと言ってそんなに上手くいくか…?という心配こそありますが、ここまで来たら何かしらの成果は得てほしい…! 間違っても誰かが犠牲になるとかそんなことにはならないでほしい…!
また、ヴォイスが言った「運命を信じている」というセリフ、人生は自らの意思で進めるものだと考えているガッツーゾにとって、こんな運命論者的な考えは理解しがたいのでしょう。「運命」という言葉には無責任さがあると感じるガッツーゾの言葉にも納得がいきます。自分の意思のみを信じるガッツーゾと運命も信じているヴォイスたちは、その生き方に違いが現れているのかもしれませんね。特にヴォイスがああまで気楽な性格なのは、運命という自分の力ではどうしようもない領分にまで意識が向いているからではないかと思います。自分の運命は既にある程度決まっているもので、あれこれ騒いでも簡単に変わるものではないという考えが根底にあるからこそ、多少ドライな性格に見えるのではないでしょうか。私の考えすぎかもしれませんがね…(笑)
今回は10~15まで読ませていただきましたが、ラクダ一号作戦は静かな空気の中で決行されているにも関わらず手に汗握る展開になっていますね! 張り詰めた空気感、わずかなミスも許されないという緊張感が伝わってきます。この先ガッツーゾたちは無事に作戦を成功させることができるのか…。非常に気になりますね。続きがアップされましたら、また読ませていただきます!』
0コメント