小説「青い髪ラプソディ」読者感想

ススムとコクイチの話し、SKユニバースから

<小説家になろう>というサイトに連載

全8話にわかれています。

第1部 おれが青い髪の少女と出会って

第2部 ハヤシさんはダンスにとりつかれていた。

第3部 「すごい。」友紀は少し緊張した声で彼にささやく。

第4部 店内ではスタン・ゲッツが曲を奏でている。

第5部 「そうだけど。」目の前を、ずぶぬれの野良犬が歩いていく。

第6部 「それで帰ってきのか?」ハヤシさんはそう言うけど、オレはいたたまれなかった。

第7部 「ああ。」オレはそう言うと、彼女の家の階段にある七人の小人を眺めた。

第8部 「わるい。」コウイチはそう言うと眠そうに缶コーヒーを飲んだ。



下記、コメント・サブスクにて読者感想をいただきました

とても嬉しかったです

(ご参考にどうぞ)


*

話の進み方が日本的というよりは、海外の映画を見ているような跳び方をしているように思えました。

日常的な部分から必要な部分を読み取らせるというよりは、必要な部分だけを見せてそこから見た者に考えさせる、みたいな。

短い会話のやりとりとそれに対して特に解を出さないまま次の場面に移っていく様は、読んでいてとても不思議な気持ちになりました。

何かと進に懐いているように見える友紀が事あるごとに関わってくるのは、好意なのか、

それとも寂しさからくる依存なのか、いずれにしても恋人の妹としてというよりも、

恋人といられない進の穴を埋めようとしているように見えました。

傍から見ていると進とあっこの関係はどこか歪で、恋人同士であるにも拘らずまともに会わず、

あまつさえ辛いなりに頑張ろうとしているあっこに対し、あっこのそんな部分が嫌いだと考えてしまう進は、

多分あっことはあんまり相性が良くないのかな、とも。

あるいは自分が何とかしたいけれどできないのが辛いからとか、そんな理由からなのかもしれませんが、

あっこ視点で見れば理不尽な扱いを受けているようなもので、

加えて会話をしても妹含め自分以外の女の話ばかりする進は、恋人としてはあまり魅力的な男性ではないように感じられます。

何故か無職ですしね。

コウイチもまた、あっことは長続きしなかったようですし、

コウイチ自身も妹の事は気に掛けながらも引きこもりの妹は前に出ようともしませんし、

なんなら進の妹はバツイチ子持ちでその子供が自閉症だしで、見た感じ登場人物全員が何かしら抱えてるものがあるように見えて、

女癖が悪そうな林さんが唯一の良心のように見えてしまいます。

それでも、妹抜きなら会話になるコウイチと、子供の事抜きなら会話になる妹の存在は、進にとっては救いのようにも見えますが。

そういう環境で生きている人たちだからこんなにも不器用なのか、

それとも単に私が穿って考え過ぎているだけなのかはまだわかりませんが、私の読解力ではこのくらいしか考えられませんでした。

文体や構成などを見ると、作品そのものの構成がまず独特で、

話別のタイトルが別に用意されているにもかかわらず、何かを印象付けるかのように毎話冒頭の流れの一文がタイトル代わりについていますよね。

また、セリフの後に改行なしに地の文(一人称)を続け、更にそれが返答も兼ねていたり。

こういうのが、個人的にではありますが、読んでいてとても変わってるなあと思う反面、読み取りにくくも感じてしまいました。

せめて誰が何を話しているのかを書いた方がいいと思います。

このような場に投稿なさっている方に、一々基本を守れなどというつまらない事を言うつもりはありませんし、

私も個性的な点はむしろ評価したいくらいですが、視覚的な面で読みにくいのは作品の評価にも直結しかねない大事な部分でしょうから、

ここだけは気にした方がよろしいかと。

とはいえ、従来の作品の作りばかりでは退屈してしまいますし、

時にはこのように変わった構成の作品を読むことも勉強になると思えました。

どうもありがとうございました。


ほし

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『心理描写が詳細に語られていたため、主人公の心の動きをよく理解しながら読み進めることができました。全体の雰囲気としてノスタルジーを感じる作品であったように思いました。まるで、何処かの静かなバーで中の良い友人と静かに語っているような、そんな落ち着いた雰囲気が魅力的です。現実世界でもそうですが、楽しい時ばかりではなく苦しい時もあり、苦しみを抱えながら日々を過ごしている人たちはたくさんいると思います。この作品ではそんな誰もが抱えている苦しみの部分を少しでも和らげるために、周りの人がお互いに気遣い支え合っていました。ユキも深い悲しみの底にいましたが、主人公を始めてとして周囲の支えがあってシングルマザーとしてこれから何とかやっていけるのではないかと思えるほど立ち直っています。人間一人でも生きてはいけますし、一人で考える時間や一人で行動する時間も大切ですが、誰かとともに過ごすこと・過ごしたことは、いかに自分を強くしてくれているのか。作品の中で、過去の思い出や、主人公の想いに触れて、私自身も昔のことを思い出しましたし、いい思い出だけではないのですが、全部含めて現在の自分がいることを再認識することができました。

素敵な作品に出合うことができ、ありがとうございました。』


ぽんこ


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『 この世界の人全てに、特に若い人々に伝えたくなるような物語でした。

 一つ一つのシーンや一文が状況を思い浮かべさせてくれました。車のワイパーやずぶ濡れの野良犬から車中で心配やもどかしさの漂う様子も伝わってきますし、ハヤシさんはハヤシライスを…の一文は一見クスッとなる場面のようで、友紀やあっこを心配する進の心の世界と、事情を知らない人達の変わらない日常とが混在する現実世界が伝わってくる一文でもありました。

犬の比喩表現や住まいの対比、6章ではハヤシさん、7章ではあっこに「それで帰ってきたの?」と言われる進、ボールで兄の愛情を受け取るリン等の表現も素晴らしかったです。

 6章の「今まで俺は彼女の何を見ていたんだ」はあっこへの後悔ですが、前回私がどういう意味なのかを考えていた1章の「色んな可能性に気付くべきだった」に繋がったように思いました。友紀を通して周りの人々を思い、後悔したり時に脅かされる生まれた意味を問う進の気持ち。それらが高校~アメリカ~地元~東京のパズルによって形成されていて、それがタイトルに繋がっているように感じました。

 取り戻せない過去が戻ってくるシーン、徐々に進の今が動き出していく様子は、一生懸命に積み重ねた時間があふれ出ていくようでした。そして、取り戻せないけど取り戻したい過去が何度か示唆されていたのが青い髪で展開を迎え、友紀(雪)の抱く海のシーンで物語が終わった時、身体の芯から静かに感動するという感覚を覚えました。

 私達が今生きている意味がこれまで生きてきた全ての人の愛情や苦悩、勇気、葛藤の上に成り立っていて、人間はそうやって生きていく、だから心配せずに精一杯生きていいんだ…ということに改めて気付かされたストーリーでした。

 感想を書き終え、何だかもったいない気持ちと感謝でいっぱいです。

『憂鬱やんボサノヴァ』と『泣き虫とビリー』も追いかけるように読ませていただいております。

素敵な時間をありがとうございました。』


ゆあ

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『全体的に懐かしい香りのする物語だなと感じました。 昭和のような平成初期のような光景 を思い浮かべながら読み進めていき ました。 それはスカートがめくれて白いパンツが…とか、『タッチ』が出てきた というのもありますし、あとはスタ ンゲイツの影響もあるのかなと思い ます。 会話部分では、登場人物の周りの 空気まで味わえました。それは「」 でくくられた台詞とその後に続く「 」のない台詞で会話の流れが表現さ れているためかもしれません。単に テンポがいいと言えばそれまでです が、会話が現実的なペースで読み進 められるので、それが空気や時間の 流れを感じることに繋がっている気 がしました。(ややこしい表現でス ミマセン) モンシロチョウが3匹、音楽をさえぎ るように目をつむる、因縁のわっか がオレを絡みとる…等の表現もとて も魅力的で、大人っぽくカッコいい 表現だなと思いました。 今のところ読ませていただいてい るのが1~4までと言うのもあります が、実は1で進が目を覚まし友紀に声 をかけられた時の「色んな可能性に 気付くべき

だった」というのはどう いうことだったんだろう?と考えて いる途中です。友紀の心の影のこと なのか、進自身のことなのか…?あ とは、リンの傷について。これらは この物語を読み進めて分かることな のか、もしくは『憂鬱やんボサノヴ ァ』を読むと分かってくることなの でしょうか。 あっこと友紀の不安定さ、ミユの一 生懸命さを見守る進。でも進も反対 にあっこやミユ達に支えられている ような気がします。進の壁って何だ ろう。過去の傷?失った過去自体? 何にせよこれからも進は自分自身や 周りのあるがままを受け止めながら 生きていくのかなと思います。進の 弱さと傷と、優しさと過去と音楽が 絡み合っていくことで、少しずつ未来が生み出されるようなイメージで 物語が進んでいって、いつのまにか 私の心も支えられているように感じ ました。 このまま最後まで味わいながら読み進めていきたいと思います。ありが とうございました。』


ゆあ


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『久しぶりに、文学っぽい文章を読ん だ気がしました。「卑屈な気持ちが 彼のコーヒーになだれ込む」」責任 は宙に浮いたまま、すぐそこに漂っ ている。」など、その状況がきれい な文になっていて素適でした。

また、「あっこはお茶を飲むことも しない。」など、あっこの動作から 彼女の気持ちが伝わってきますし、 「濃いお茶」との表現から、緊迫し た状況が伝わってきます。

物語は淡々と進んでいった印象です 。舞台は平成初期ぐらいですか?懐 かしさを感じました。

なんとなくですが、昔読んだ「ノル ウェーの森」を連想しました。淡々 と進むけど、先が気になるって感じ です。

読んだあと、ラプソディとはどうい う意味なのか調べたら、民族的や叙 事的って意味なんですね。自由奔放 って意味もありました。色んな曲を メドレーのように繋げるともありま した。

私は登場人物の思いが絡み、ラプソ ディのようだと思いましたが、作者 さんはどんな思いでラプソディにし たのか、気になりました。』

*はな



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